記録-GN004

以前漂着した翡翠の置時計に関する追記です。

置時計はひとつの翡翠の塊から削り出された彫刻で、時間を示す機構は備わっていないようです。時計というよりは置き物と呼ぶ方が適当かもしれません。その他の情報に関しては漂着日の記録に記載しています。

漂着以来時計は常に10時17分を指したままでしたが、226年と29日目の今日、針が10時18分に移動していることを確認しました。

記録-GN003

脚を修復する前に白鷺は飛び去っていきました。

記録-GN002

鳥捕りが来て、白鷺を置いていきました。

白鷺は植物園でくつろいだ様子でしたが、散水機の水に当たって片脚が溶けてしまいました。どうやら白鷺の体は砂糖でできているようです。白鷺の脚が溶け込んだ砂糖水から氷砂糖の花が咲き、蜂が盛んに飛び交っています。

後ほど、飴細工の手順で脚の修復を試みようと思います。

記録-GN001

今日は外からの来客がありました。

彼の体は硝子で形成されているようです。体には微細な気泡が含まれており、それらが陽の光を受けて白く光っていました。
彼が言うには、彼のいた世界では全ての物質が硝子でできており、どれも脆く透明なのだそうです。先日そこで硝子製の月と太陽が衝突してしまい、粉々になってしまう事件が起こりました。彼の右目に刺さった大きな破片は、その時に砕け散った月の成れの果てなのです。
「おれには必要ないものだから、欲しいならやるよ」と彼が言うので、私は月の欠片を譲り受けました。可能であれば彼の体をより詳細に検査してみたかったのですが、断られました。

硝子製の月の欠片は複雑に光を反射し、とても美しく輝いています。