
C-001
陶器で出来た長辺1メートル程の器が漂着しました。
底には動物の足(※)を模した金色の突起が四つあります。
※簡略化された造形なので、何の動物かは不明です。
二つは食肉目、二つは偶蹄目の特徴を持っています。
外見的な特徴としては『ねこあしバスタブ』に一致しますが、
一般的なサイズよりかなり小さいように思います。
以降、便宜的に『ねこあしバスタブ』と呼ぶことにします。
捕獲を試みたのですが、思いの外素早く、逃げられてしまいました。


WB-0005
第三デッキで二体の熊の死体を発見しました。
どちらも灰色の塗料で全身が覆われており、死因は塗料が気道を塞いだことによる窒息死であると考えられます。念のため回収し、後程検死します。


WB-0004
あれから10日程経ちましたが、二人はまだペンキを塗り合っています。
二人ともひどく忘れっぽいので、お互いに自分が何色になりたい何色の熊だったのか塗っている内にわからなくなってしまうようです。


WB-0003
白い熊と黒い熊を引き合わせたところ、似た者同士の二人はすぐに意気投合しました。
白い熊と黒い熊は白と黒のペンキを使ってお互いなりたかった色に塗り合うことにしたようです。


WB-0002
黒い熊が第二デッキに現れました。体色以外は先日現れた白い熊に酷似しており、記憶の欠落も同程度に認められます。
それでも黒い熊はひとつだけ記憶を保持していました。それは「どうしても白い熊になりたい」という欲求です。黒い熊はデッキをぐるぐると歩き回りながら「白くなりたい。白くなりたい」と言い続けています。
しかし翌朝には「何色になりたいんだったっけ? 白であってたかな?」と首を傾げていました。熊とはこんなにも忘れっぽい生物だったでしょうか。


WB-0001
白い熊が第三デッキに現れました。どのような世界からやって来たのか、自分は何者なのか、一切覚えていないそうです。ここへ来る過程で記憶が欠落したのかもしれません。
それでも白い熊はひとつだけ記憶を保持していました。それは「どうしても黒い熊になりたい」という欲求です。デッキをぐるぐると歩き回りながら白い熊は「黒くなりたい。黒くなりたい」と言い続けています。
しかし翌朝には「何色になりたいんだったっけ? 黒であってたかな?」と首を傾げていました。単純に、とても忘れっぽい熊なのかもしれません。
